北朝鮮「漂着木造船」問題と日朝交渉
- Masanobu Matsuura
- 2019年5月7日
- 読了時間: 2分
更新日:2019年8月9日
GWに北海道で北朝鮮の木造船を見てきました。

「よくこんなボロ船で日本海を越えてきたなぁ」というのが正直な感想です。
海上保安庁の集計によれば、2018年に、北朝鮮の木造船は2013年以降最多の225件を記録しました。北朝鮮の漁師による日本の排他的経済水域(EEZ)での違法操業が続発しており、その中には覚醒剤の密輸や工作員の偽装上陸の可能性を指摘する専門家もいるようです。
また増加の背景には、国連の対北制裁の効果を指摘する声もあります。米国務省もこの点に着目し、高位級脱北者による証言も傍証としてたびたび登場します。制裁効果と漂着数にはある程度の相関性がありそうですが、実態はまだよく分っていません。
さて、漂着木造船問題には、日朝関係からも注目する点がありそうです。これまで漂着土木船には、乗組員がいないケースが多かったのですが、近年にはいって記憶に新しい「渡島小島事件」のように、生存者が見つかるケースが増えてきております。
この結果、日朝両政府が赤十字社ルートや総連ルートを使って、北朝鮮漁夫を北朝鮮に帰国させるケースが目立つようになってきました。「人道的措置」というのは、歴史上、日朝間でバイのディールをする際に登場する「外交的な知恵」のようなものであり、2か国間関係の進展を考えるうえでひとつの指標になる場合が少なくありません。

2019年2月には、日本によるこうした北朝鮮漁船・船員の救助に対して、朝鮮赤十字社が日本側に謝意を伝えたとの報道もありましたが、今後、北朝鮮側から漂着木造船に関する日本政府への「感謝のメッセージ」が頻出することになれば、安倍政権が主張する日朝平壌宣言の履行とその後の国交正常化に向けた動きが稼働する可能性もあるのではないでしょうか。
Comments